Microsoft Excel|四捨五入のトラップに要注意

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東プレ テンキー REALFORCE23UB

1. 四捨五入のトラップに要注意

民事裁判は、世の中のあらゆる不幸をお金で解決するシステムであり、訴訟代理人として活動する弁護士にとって、お金の計算は非常に重要です。そうした計算に欠かせないのがExcelです。Excelを使用することで、複雑な計算や検算が容易になり、作成した表は別紙として主張書面に添付できます。

Excelを使用する際に気をつけなければならないのは、遺産分割や遅延損害金等の「小数が出てくる計算」です。Excelはデフォルトで小数点以下を四捨五入しますが、民事裁判では、小数点以下は切り捨てるのが通例です。

例えば、99.9円の請求権しかないのに、100円の請求が認められるわけがありません。小数点以下を切り捨てて、99円を請求するのが正しいと言えます。

このことを知らず、Excelで四捨五入をしてくる弁護士が非常に多いですが、これが致命傷になることもあります。

保全の際は1円の計算ミスで発令が一日遅れますし、配当の際も1円単位の処理が求められます。

何でもExcel任せにせず、最後は電卓で検算することです。

2. 存在を知っておくと便利なExcelVBA

ExcelVBAとは、Excelを制御するプログラミング言語です。これを利用することで、Excelの複雑なデータ処理が可能になります。

弁護士は、ExcelVBAを使いこなせる必要はありませんが、存在を知っておくと役立つことがあります。

企業間の取引紛争で、膨大な量の取引データ(Excelファイル)から、該当する項目の金額だけを抽出することがあります。

例えば、取引先の「イリーガル商事」に「コンサルティング費用」名目で支払った費用が架空請求だった場合、Excelで作成された全取引データから、その項目の金額だけを拾い出して合計を算出します。

これが結構厄介な作業で、ファイル数冊分に相当するExcelデータから、無関係の項目を除外し、該当項目だけを地道に拾うことになります。訴訟の場合はこれが訴額になるため、正確性も必要です(計算間違いをすると訴えの変更が必要になります。)。

こうした作業は、普通は依頼者に行ってもらいますが、ごく稀に弁護士が引き受けることがあります。

問題は、どうやってデータを処理するかです。

最初に考えるのはExcelのソート機能の活用ですが、シートが100ページ以上あるとお手上げです。次に、Excelと相性の良いペダル等を使用して、マンパワーで押し切れないか検討しますが、少しやってみると、気が遠くなるような時間が必要であるとわかります。

参考記事:究極の事務作業はペダルで

USBフットペダルスイッチ 3ペダル

ここで出てくる最後の手段がExcelVBAです。

プログラムを外注して組んでもらうと、手作業で1ヶ月かかる作業が10分で終わり、必要な部分だけを抽出した計算書も作成できます。

弁護士がデータ処理を行う機会は非常に少なく、ExcelVBAを使いこなせる必要はありませんが、この存在を知っておくだけで、役立つ場面があると思います。

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